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2025.02.17
イベント
    #キリスト教文化研究所

【キリスト教文化研究所】本年度研究会を開催しました

2025年2月1日(土)にキリスト教文化研究所の研究会を開催しました。今回の発表者は以下の2名です。

発表1 勝西 良典(本研究所所員)
「Propertyの源泉としての呼びかけと応答(1):propertyとしての権利(人権)と関係としての権利(人権)」
発表2 渡邉 浩(本研究所所長)
「使徒憲章Divinus perfectionis Magister (1983)と20世紀の列聖手続き」

発表1では、「ある/なし」、「持っている/持っていない」といった形でとらえられる権利(人権)のルーツを「propertyとしての権利(人権)」理解に見出し、それがどのように展開されてきたか、特に近世近代の思想家たちに注目して解説がなされました。次いで、そのような理解を乗り越える権利概念を新しく構築していくためには、古代中世から主張されてきた「関係としての権利(人権)」、すなわち「呼びかけとそれに対する応答」という在り方を再評価する必要があるのではないかと論じられました。
発表2では、1983年に作られた『(新)カトリック教会法典』ではわずか1条(1403条)でしか取り扱われていない列聖手続きについて、その別則にあたる使徒憲章『完徳の聖なる教師 Divinus perfectionis Magister』(1983年1月25日)と『(旧)カトリック教会法典』(1917年)の規程を参照しつつ、20世紀の列聖手続きとその変遷がたどられました。特に変化した点として、候補者の調査手続きに歴史学的な方法が採用されたこと、手続きの効率化を進めるための改革がなされたこと、列聖省の役割が変化したことが挙げられ、それらを裏付ける資料が紹介されました。

いずれの発表後も、たとえば「property」をどのように翻訳するべきか、ひいては日本語でいかに誤解なく、ある概念を説明することができるのかという問題について(以上、発表1関連)、あるいは列聖手続きの際に必要な証拠のひとつである「徳行」について、文化的?歴史的な文脈を踏まえたうえで判断すべく「伝記」が作られるようになったことの意義について(以上、発表2関連)など活発な質疑応答がなされ、予定された時間を大幅に超える実り豊かな研究会となりました。

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