地域創生学科の「色彩の錯視と衣服」(2年生)において、色彩学の学びを活かして学生がつくったティファニー風ミニランプシェードをご紹介します。
2025年度は藤天使学園100周年の節目の年にあたります。
そこで1年前、学生に藤のイメージは?と聞いたところ、「シスター!と…チャペル?」と返答があったことから、カトリック教会に欠かせないステンドグラスを、今年度の色彩の授業に取り入れようと考えました。
色彩学には「色彩調和」という言葉があります。フランス王立ゴブラン織工房の研究所長であったシュヴルール(M.E.Chevreul;1786-1889、有機化学者)は、色彩調和を論じた最初の人物とされています。
ゴブラン織りの色に対して苦情が寄せられ原因究明をしていた彼は、問題は染色ではなく、色の組み合わせにあると気づきました。隣合う色によって異なる色に見えてしまう、目の錯覚が起きていたのです。この事例から配色が調和していれば人に好感を、そうでなければ違和感を与えてしまう、デザインする際に色彩調和がいかに重要であるかが分かります。
さて、ステンドグラスに戻りますと、ステンドグラスとは着色ガラスを鉛などで繋ぎ合わせて絵や模様を表したガラス工芸品をさします。
色の組合わせが作品の印象に影響を与えるため、全体の色彩バランスを考慮しながら作る事が求められます。もともとは採光と宗教的な目的(非識字者へのキリスト教布教)の為に9世紀頃から教会に、19世紀にはこの美しさが注目されて個人宅に取り入れられるようになりました。
暮らしの中のステンドグラスの代表的な例はランプシェードです。
ジュエリーブランドTIFFANYの創業者の長男は、長じて後にガラス芸術家となり、ステンドグラスの立体造形を可能とする技術を編み出しました。今に伝わる数々のティファニーランプはここから生まれます。ガラスから透過された色彩豊かな優しい灯りは、当時の人々の暮らしに彩りを添えたことでしょう。
今回学生たちが挑戦した作品は、このティファニーランプを模しています。色彩の調和に思いを馳せながら作り上げた多彩な光をお楽しみください。
(被服学担当教員)
(作品写真撮影:教務助手 青田飛鳥)